【読了本】ラブカは静かに弓を持つ/安壇美緒

あらすじ:少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……

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感想:人と距離を置いて静かに生きる彼は無色透明のようだけど心の深層には鉄紺色が広がっている。そんな感じが表題と美しい装丁にぴったり。
ずっと留まっていた深い深海を少しづつ上昇し光の届く世界に行く感覚を一緒に体感したよう。

読んでよかったと思える1冊でした。

2023-15

【読了本】名探偵のままでいて/小西マサテル

第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作

「認知症の老人」が「名探偵」たりうるのか?
孫娘の持ち込む様々な「謎」に挑む老人。
日々の出来事の果てにある真相とはーー?
認知症の祖父が安楽椅子探偵となり、不可能犯罪に対する名推理を披露する連作ミステリー!

あらすじ:かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、七十一歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。
しかし、小学校教師である孫娘の楓が、身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった! 
そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が……。

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感想:連作短編なので徐々にミステリ色が深まっていくのですが最終章は怒涛の展開でした。犯人はわかれど、さらに深い因縁は想像できなかった。
ミステリ小説ではあるものの優しい空気が纏わるミステリなので普段ミステリを読まない方にもおすすめできる、このミス大賞っぽい1冊だと思います。

2023-14

【読了本】北緯43度のコールドケース/伏尾美紀

あらすじ:第67回江戸川乱歩賞受賞作!

博士号を持ちながら30歳で北海道警察の警察官となった沢村依理子。
ある日、5年前に未解決となっていた誘拐事件の被害者、島崎陽菜の遺体が発見される。
犯人と思われた男はすでに死亡……まさか共犯者が……?捜査本部が設置されるも、再び未解決のまま解散。
しばらくのち、5年前の誘拐事件の捜査資料が漏洩する。なんと沢村は漏洩犯としての疑いをかけられることに。
果たして沢村の運命は、そして一連の事件の真相とは。

組織に翻弄されながらも正義を追い求める沢村。
警察官として、ひとりの女性として葛藤し成長していくーー。

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感想:デビュー作であり長編ミステリの執筆がはじめてという本作。感想をいくつか拝見した時は読みにくさを指摘されてる方を多数お見かけしましたが、私は読みにくさとかはなく、物語に惹き込まれてあっという間に読了。

シリーズとして第二弾が出るということで読みましたがとても面白かったので新作も読みたいと思います!

2023-13

【読了本】ヴィクトリアン・ホテル/下村敦史

あらすじ:女優、スリ、夫婦、ベルマン……騙しているのは誰だ?
100年の歴史あるホテル、最後の一夜に一気読み&二度読み必至!

伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」は明日、100年の歴史にいったん幕を下ろす。特別な一夜を過ごす女優、スリ、作家、宣伝マン、老夫婦、そしてベルマン。それぞれの思惑が交錯したとき運命の歯車が軋み始めーーラスト30ページに特大の衝撃と深い感動が待つ、エンターテインメントを極めた長編ホテルミステリー!

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感想:途中から違和感が表面化して、はたと気づくとズルいな(上手いな)とニヤニヤしちゃう。

純粋な善意すらもっともらしい正義を振りかざした悪意に歪められる今の時代。誰かのためにという優しさは紛れもない善意なのに。善良な人ほど生きにくい世の中なんておかしい。
人が少しづつ人と交わり、時に人を助け、時に人に助けられ…そんな当たり前の社会の縮図がホテルという場所。

【読了本】人形姫/山本幸久

あらすじ:後継者不足に悩む老舗人形店に、外国人の若い女性が弟子入り志願!?  
お人好しな若社長は、仕事に恋に大奮闘!
亡き父のあとを受け、森岡恭平が社長を務める森岡人形は、低迷する売上、高齢化した職人の後継ぎ不在と、問題が山積。さらに恭平自身の婚活問題も難航しており……。
そんなある日、職人たちが足繁く通うパブで働くクリシアというフィリピン人女性が、社屋を訪ねてきた。職人の一人が、酔った勢いで「俺の弟子にしてやる」と、彼女に約束したと言うのだが……。
笑って、泣いて。読みどころ満載のハートフル・ストーリー。

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□人形姫/山本幸久

感想:昔やっていたお昼のドラマのような、人情味溢れる人達のちょっとお節介だけど相手の気持ちを大切に自分の考えを押し付けない距離感が心を穏やかにしてくれます。
タイトルの回収も鮮やかで、さらに最後の終わり方は本当に素敵。

ドラマになって欲しいな…。

桃の節句の前に読みたかったから読了できてよかった。うん、今年はちゃんと雛人形を飾ろう!

2023-11

【読了本】作家 超サバイバル術!/中山七里・知念実希人・葉真中顕

あらすじ:作家の道は修羅の道。生き残るには、どうすれば?
作家への登竜門”新人賞”は数あれど、デビュー後作家として本を出し続けるのは至難の業と言われています。そんな文芸界での生き残り術を、人気作家三名が赤裸々に綴る、業界騒然のエッセイ集!

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感想:いやー、面白かったです!
中山先生の語りは、私は中山ファンなので色々な媒体で見聞きしてるから想定内の中山像そのまんま、知念先生もTwitterで拝見していて想定内、葉真中先生ははじめましてなのですがお二人がぶっ飛んでる分とても常識人で御三方のバランスが絶妙で面白い。それに加え佐藤先生の四コマ漫画が秀逸です!

アプローチの違いはあれど基本、御三方は同じことを仰ってます。超斜め上(中山先生)、斜め上(知念先生)から一般的な正論(葉真中先生)という順番の妙もあってその違いと同じ部分が分かりやすい。

2023-10

 

【読了本】チョウセンアサガオの咲く夏/柚木裕子

あらすじ:美しい花には毒がある

献身的に母の介護を続ける娘の楽しみとは……。

柚木裕子は短編も面白い。「佐方貞人」シリーズ、「孤高の血」シリーズ、「盤上の向日葵」「慈雨」など数々のベストセラー作品を世に送り出してきた著者。ミステリー、ホラー、サスペンス、時代、ユーモアなど、デビュー以来の短編をまとめた、初のオムニバス短編集。「佐方貞人」シリーズスピンオフ「ヒーロー」収録。

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□チョウセンアサガオの咲く夏/柚月裕子

感想:初のオムニバス短編集という名の通り色んなタイプの短編がぎゅっと詰まった一冊でした。
短編なので筋道がわかるものもありますが柚月さんの文体が好きなので読んでいて楽しかったです。ちょっとチクッと棘がある短編が多い印象ですが左方シリーズのスピンオフはやっぱりうるっとやられるやつでした。

2023-9