【読了本】爆弾/呉勝浩

あらすじ:些細な傷害事件でとぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。

直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。「ここから三度、次は一時間後に爆発します」

警察は爆発を止めることができるのか。爆発魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。

楽天ブックスより引用

・第167回直木賞候補作

このミステリーがすごい!2023年版、国内編集 第一位

・ミステリが読みたい2023年版、国内編集 第一位

books.rakuten.co.jp

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□ 爆弾/呉勝浩

感想:最後の一行が全て。

作者からこの物語を通じて読者への問いかけでもある一行。

 

登場人物が多いなと思ったけど、個々のバックボーンの違いからこの事件の見え方や捉え方が違うという提示であり証明であるのかな。必然と作者が読者へ問うその答えもそれぞれのバックボーンによって様々になるというのがいろんな方の感想を読んで感じました。

人間という生き物の複雑で難しさがよくわかる。ただ、最後に「警察官を続けたい」と言った彼女に救われた気がします。

 

タゴサク…。こんな流暢に話す犯人はなかなかいないし、こういう犯人は大体が自己顕示欲が強く嘘をつくから喋れば喋るほど不利になるのですが、タゴサクがそうならず警察官が手こずるのは失うものがなく嘘がないから。いわゆる無敵なタイプ。こういう容疑者が一番厄介なのは間違いない。

 

立場や経験、どこからの視点で捉え考えるか…。多方面から想像できるのが読書の醍醐味の一つであり貴重な考える場でもあるのかなと思います。それには最適な一冊かと思います。

 

国内のミステリランキング二冠、第167回直木賞候補作であり今年の本屋大賞にもノミネートされたこの作品は一読の価値ありです!